梅里雪山―十七人の友を探して



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梅里雪山―十七人の友を探して
梅里雪山―十七人の友を探して

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胸を強く強く打たれました。

山にもチベットにも縁のない私ですが、ふとしたきっかけで本書を手にしました。17人の遺体を捜索する話と聞いて、あまりの重さに読了できないかも…という心配は、杞憂でした。引き込まれてしまい、2日ほどで読了。重い話ですが、読後は爽やかなものが残りました。

1991年に日本人中国人あわせて17人もの遭難者を出した、雲南省最高峰の梅里雪山。著者は山岳部の仲間を含む全員の遺体を捜すために何度も何度も足を運びます。そこには地元の人々が畏れ信仰する「聖なる山」に挑もうとする日本人を心よく思わない、地元住民との軋轢もありました。しかし遺体が、彼らの生活水を供給する氷河に残っていることを知り、そのままにしておくことはできなかったのでしょう。どんなにかつらい作業だったかと想像しますが著者は地元村長らの協力を得て遺体を捜索・収容します。またその使命と同時に聖山に魅せられて、巡礼の旅も行なった著者は、登ってはいけない山なのではないかと思うに到ります。そのような、山や異国の文化に対する理解の道すじを、たいへん興味深く読むことができました。

なにより著者の姿勢に深い感銘を受けました。仲間を最後の一人まで探したいという気持ち、地元住民感情への配慮と誠意、山に登ることの意味とその責任のとり方…読みながらいろいろなことを考えさせられました。

この本を締めくくった2006年1月の時点で、まだ最後の1人が確認できていないそうです。早く見つかるよう、心から祈らずにいられません。私のように山やチベットに縁のない方にもぜひ、読んでいただきたい1冊です。
山にも人の心にも一歩一歩登った著者渾身の力作

大規模遭難で亡くなった同窓生たちの遺体を捜すため中国・チベットに旅をし、決意の果てに会社をやめてカメラマンになった著者の、物理的な行動と、その心の旅路の記録です。

こんなに美しい山をみたことがありません。
この聖山は人が上るのを嫌うのです。迷信、と片付けられない「何か」を著者は感じます。そして現地に実際に住み、遺体、遺品の回収活動を通して村人と心を通わせていくのです。
「おまえは前にきたときに最後までキャンプ地のゴミ拾いをしていた。だから信用する」・・・村長の重いひとこと。

そういう心遣いのできる人だから、遺品もみつかるのでは・・・最後のおひとりを残して全員が日本に戻りました。

写真のなんと鮮烈で透明なことか。
家族が正月の食事を囲むうれしい笑顔。屋根からさしこむ光が、神の発したもののようです。
笑顔のこどもたち。自然なおとなの姿。

苛烈な大自然、「それでも」人はむつみあって生きていくしかない。

「尊厳」ということを非常に強く感じさせられました。
様々な“変化”がリアルにつづられるノンフィクション作品

「日本登山史上最悪の海外遭難」に“一個人として”
真摯に向き合う著者の姿勢に心打たれる作品です。
山に憧れ・山で友人知人を失った一登山家に過ぎなかった著者ですが、
遺体捜索・現地の方々との交流・巡礼を重ねるうちに、
外部者がひとときやってきて征服する“山”から
現地の方々の暮らしの源であり崇めるべき“聖山”へと
少しずつしかし着実に山に対する姿勢を変化させていきます。
淡々とした文章の為、心境の変化が尚のことリアルに感じられます。

また、著者の心境・言動だけでなく、他にも様々な“変化”が見受けられます。
地元の方々の著者に対する感情や言動の変化・同一化政策や観光地化による生活の変貌振り
・遺族の方々の遭難や山そのものに対する気持ちの変化など、
15年間の様々な“変化”を追うルポルタージュとしても読み出がある作品です。

尚、所々に著者撮影による写真も見られますが、
聖山やきれいな花々などの自然・聖山に暮らす人々の暮らしと
遺体や黄変した遺骨など“見たもの”全てに対し、
分け隔てなく真摯に向き合っていらっしゃることが伝わってきます。
美しい写真と誠実な著者

この本の著者、小林氏の梅里雪山での捜索活動については、NHKのラジオ深夜便ではじめて知りました。そのときから、活動についての詳細、写真がみたいなと思っていました。その期待にきちっとこたえてくれた本でした。
地元民の飲料水を汚染してはならない、という観点から遺体捜索活動を開始した著者。また梅里雪山は地元民にとって親みたいな清なる山、登ってはいけないのだ、と強く地元民に言われてとまどう著者。当初は登山家として登ることしか、考えていなかった著者の考え方が、地元に住み着くうちに変わっていくところが真摯につづられています。写真も美しく、梅里雪山という聖地の魅力がわかります。ただし、梅里雪山も今はかなり観光化しているとのこと。でも一度は、たずねてみたいところです。子供の笑顔の写真がすばらしいです。
直向さが大切なものを与えてくれる

残された者の責任などと言う簡単な事ではない圧倒的な行動力に魅了される。
作者の繊細さが至る所に率直に書かれていて心が震える。
現地人を愛し、梅里雪山を愛することで、先立った友人を弔っているように思える。
何度も梅里雪山に行くうちに制覇する対象だった山が、崇拝する山になるという。
続けること・貫くことで生まれる心の豊かさを感じられる。



山と溪谷社
運命の雪稜―高峰に逝った友へのレクイエム
いまだ下山せず! (宝島社文庫)
ミニヤコンカ奇跡の生還 (yama‐kei classics)
チベットのアルプス
K2 非情の頂―5人の女性サミッターの生と死







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